ブログ

2026.10.27

群馬でインプラントを断られた方へ|骨が少ない場合に確認したいこと

「骨が少ないから、インプラントは無理ですと言われました。」

「もう諦めるしかないのでしょうか。」

 

こうしたお言葉を、当院の初診で伺うことは少なくありません。長く噛めずに悩んでこられた末に、治療そのものを断られたのですから、落胆されるのは当然です。そのお気持ちは分かります。

 

ただ、「断られた」ことと「治療の可能性がない」ことは、必ずしも同じではありません。骨の量が足りないと言われる背景には、骨の状態そのものに加えて、その医院が対応できる術式の範囲という事情が関わっていることもあります。

私はインプラント治療に20年以上携わり、埋入本数は4,762本になります(2026年8月現在)。当院で手術を受ける患者さんの8割近くは、一般に難症例とされるケースです。その経験から言えるのは、「骨がない=大がかりな手術が必要」とは限らない、ということです。もちろん、骨の状態や全身状態によっては、インプラントをお勧めできない場合もあります。

 

この記事では、断られる主な理由と、次に確認しておきたいことを順にお話しします。

 

インプラントを断られる主な理由とは?|骨量・全身状態・設備

インプラントを断られる理由は、ひとつとは限りません。私が初診で伺う中では、大きく「骨の量」「全身状態」「医院の設備や対応範囲」の3つに分けられることが多いと感じます。

まず骨の量です。特に上の奥歯は、すぐ上に上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。歯を失ってから時間が経つと骨が薄くなり、インプラントを支える骨の高さが足りないと判断されることがあります。この場合、骨を足す処置が必要と説明され、その術式に対応していない医院では「難しい」と告げられることがあります。

 

次に全身状態です。重度の糖尿病や、骨粗しょう症で服用している薬、心臓や血液に関わる持病などは、手術のリスクに影響します。この場合は、主治医と連携したうえで可否を慎重に判断します。医学的な理由で、お勧めできないこともあります。

 

そして設備や体制です。CTによる精密な診断、感染対策、手術中の管理体制、静脈内鎮静への対応などは、医院によって異なります。リスクに備えられないと判断した医院が、安全を優先して見送るのは自然なことです。

 

当院で手術を受ける患者さんの8割近くは難症例とされるケースで、骨が少ない方も多くいらっしゃいます。そうした方に対し、当院では残存骨が1mmほどでも、侵襲の小さいソケットリフトで対応することがほとんどです。ただし、これは骨や全身の状態によって決まり、すべての方に適応できるわけではありません。

 

ですから、断られた理由が上のどれにあたるのかを知ることが、次の一歩になります。理由が分かれば、別の選択肢があるかどうかも見えてきます。

 

「骨がない」は本当に大がかりな手術を意味するのか?|一般的な認識の確認

「骨が足りないと言われました。大きな手術になるのでしょうか」。こうしたご相談は、当院でも非常に多くいただきます。

上顎の奥歯では、骨の下に「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があり、骨が薄いとインプラントを支える高さが足りなくなります。そのため、上顎洞の底を持ち上げて骨を足す「上顎洞挙上術」が検討されます。この術式には大きく二つあります。

一つは、歯肉を開き、頬側の骨に窓を開けて行うラテラルアプローチ(サイナスリフト)です。骨が極めて少ない場合などに適応があり、有用な術式です。もう一つは、インプラントを入れる穴から上顎洞の底を持ち上げるクレスタルアプローチ(ソケットリフト)です。傷口が小さく、治癒期間が短いこと、通院回数が少ないことが多く、身体的にも費用の面でも負担が軽くなりやすい方法です。

 

つまり、「骨がない」ことが、そのまま大がかりな手術を意味するとは限りません。

 

当院ではラテラルアプローチをほとんど行わず、これまでの4,762本(2026年8月現在)の経験を踏まえ、ソケットリフトを主軸にしています。侵襲が小さいほど、患者さんの負担を抑えられることが多いと考えているためです。骨が少ないほど難易度は上がる手技ですが、長年この領域の症例を重ねてきたことで、主軸にできると判断しています。

 

ただし、どの術式が適するかは、CTで見える骨の状態や全身状態によって決まります。ソケットリフトが合わない方もいらっしゃいます。

 

「大きな手術しかない」と言われて足が止まっている方は、術式が一つではないことを知っておいてください。

 

当院が骨の少ない方にソケットリフトを主軸にする理由|4,762本の実績から

当院で手術を受ける患者さんの8割近くは、一般には難症例とされるケースです。他院で「骨が足りない」と言われた方、治療がうまく進まなかった方が多く来院されます。そのため、骨の少ない方を診る機会が日常的にあります。

そのなかで私は、上顎の骨が少ない方に対して、ソケットリフトを主軸にしています。残っている骨の高さが1mmほどしかない場合でも、まずこの方法で対応できないかを考えます。実際に、当院で上顎洞に関わる手術を受ける方のほとんどが、この術式です。

 

理由は、患者さんの負担が小さくなりやすいからです。傷口が小さければ、感染のリスクを避けやすくなります。治癒の期間が短く、通院の回数も少なく済むことが多いため、仕事や家事の合間に通う方にとっては、時間的な負担も軽くなります。費用の面でも、手術が大がかりにならない分、負担を抑えやすい傾向があります。群馬県内でも、前橋から離れた地域から通われる方は少なくありません。通院回数が減ることは、遠方の方にとって実際に助かる点だと考えています。

 

一方で、この術式は骨が少ないほど難しくなります。視野の限られた中で、上顎洞の粘膜を傷めないよう慎重に持ち上げる必要があるためです。主軸にできているのは、年間400本以上のインプラント手術を重ね、これまでに4,762本(2026年8月現在)を埋入してきた経験があるからだと考えています。

 

ただし、すべての方に適応できるわけではありません。骨の状態によっては、ラテラルアプローチのほうが適している場合があります。全身状態によって、手術そのものを慎重に判断すべき場合もあります。ラテラルアプローチは適応のある有用な術式であり、当院が選ぶことが少ないというだけです。どの方法が合うかは、CTで骨を確認したうえで、症例によって異なります。

 

インプラントの前に、歯を残せないかを確認する|抜歯判断の現実

最初にお伝えしておきたいのは、他院で抜歯と言われた歯について、当院の診断で「残せる」という結論に変わることは、そこまで多くないという事実です。多くの場合は、やはり抜歯という判断になります。ここを曖昧にしたまま期待を持たせることは、私の本意ではありません。

それでも、抜く前にもう一度診断を受ける意味はあると考えています。抜歯は、やり直しがききません。歯を失えば、その後はインプラントなどで補うことになり、骨の状態によっては治療が大がかりになることもあります。だからこそ、保存の可能性を検討し尽くしたうえで判断したいのです。

 

当院では、手術を受ける患者さんの8割近くが、一般に難症例とされるケースです。他院で断られた方や、うまくいかなかった方が多く来院されます。その中には「できるだけ歯を抜きたくない」「残す手段を持つ歯科医師にも見てもらいたい」という方が少なくありません。根管治療(歯の神経の治療)を得意としているため、再治療で状態が変わる可能性がないかを、CTなどの検査をもとに確認します。

 

そのうえで、保存が難しいと判断した場合に、はじめてインプラントを選択肢としてお示しします。結果として他院と同じ「抜歯」という診断になることも、症例によっては十分にあります。また、患者さんご自身が抜歯を強く希望される場合は、無理に残そうとせず、インプラントの計画に切り替えます。

 

初診は1時間のカウンセリングで、その日に治療を始めることはありません。持ち帰って考えていただき、次回に決めていただく流れです。

 

他院で断られた方が相談前に整理しておきたいこと|初診の流れ

ご相談の前に、あらかじめ整理しておいていただくと話が進めやすいものがあります。

まず、他院で撮影されたレントゲンやCT画像があれば、データをお持ちください。断られた理由が「骨量」なのか「全身状態」なのか、あるいは別の事情なのかによって、検討する方向が変わるためです。あわせて、診断書や治療計画書、断られたときに言われた言葉のメモがあると助かります。服用中のお薬(お薬手帳)や、持病・通院歴も、手術の可否や方法を考えるうえで欠かせない情報です。

 

すでにインプラントが入っている方は、手術を受けた医院名、時期、インプラントのメーカーがわかる資料(インプラント手帳や保証書など)をお持ちください。メーカーが不明でも、検査から手がかりを探せることが多いので、ご心配はいりません。

 

初診は1時間のカウンセリングです。診査と診断を行い、治療の選択肢をお示しします。当院は、インプラントの前にまず歯を残せないかを検討する順序で診ています。そのうえで、その日に治療を始めることはありません。選択肢を持ち帰っていただき、次回にお決めいただく流れです。「この先生とは合わない」という直感も、大切にしていただいてかまいません。

もうひとつ、あらかじめお伝えしておきたいことがあります。当院の患者さんの95%以上が自費診療です。費用は症例によって異なるため、検査のうえでご提示します。近さや費用の安さを第一にお考えの方には、合わない場合があります。

 

私はこれまで4,762本(2026年8月現在)のインプラントを手がけ、手術を受ける患者さんの8割近くが難症例です。断られた経緯をお聞きすると、状況が整理されて次の選択肢が見えてくることも少なくありません。ただし、適応できる治療は骨の状態や全身状態によって異なります。

 

まずは一度ご相談ください。

 

よくある質問

Q. 他院で「骨が少ないのでインプラントは無理」と言われました。もう諦めるしかないのでしょうか。

A. 断られた理由は、骨の量、全身状態、医院の設備や対応範囲など複数あり、断られたことが治療の可能性がないことを意味するとは限りません。ただし、骨や全身の状態によってはお勧めできない場合もあります。まずは理由を確認することが大切です。

 

Q. 骨が少ないと、大がかりな手術になりますか。

A. 「骨がない=大がかりな手術」とは限りません。当院では残存骨が少ない場合でも、傷口の小さいソケットリフトで対応することが多いです。ただし術式は、CTで見える骨の状態や全身状態で決まり、すべての方に適応できるわけではありません。

 

Q. 他院で抜歯と言われた歯は、残せますか。

A. 診断し直しても、抜歯という判断が変わることは多くなく、やはり抜歯になるケースが大半です。それでも、抜歯はやり直しがきかないため、抜く前に保存の可能性を含めて再度診断する意味はあります。結果は症例によって異なります。

 

関連記事はこちら

骨不足でインプラントが難しい理由と選択肢▶

 

インプラントを見送るべきとされる理由▶

 

治療前に確認したい適応条件と注意点▶

 

────────────────────────────────────────
執筆 医療法人優和会 理事長 神田 浩之

 

東京歯科大学卒業。東京歯科大学総合診療科、東京都台東区の医療法人副院長を経て、
カンダデンタルけやきオフィス前橋を開業。インプラント治療歴20年以上、埋入実績4,762本
(2026年8月現在)。ISOI(国際口腔インプラント学会)指導医、DGZI Japan(ドイツ
インプラント学会)指導医、ADIA(アメリカインプラント学会)認定医。2025年 HIOSSEN
AWARD 表彰。「歯医者さんがおすすめする歯科医院」に5年連続で選出。

 

医療法人優和会 カンダデンタルけやきオフィス前橋
群馬県前橋市/027-212-0539
診療時間 9:30〜13:00・14:00〜17:30(土曜は17:00まで)
休診日 日曜・木曜・祝日
────────────────────────────────────────