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2021.12.6

ニーズに合う矯正治療のすすめ

監修 医療法人優和会理事長 神田 浩之

こんにちは、群馬県前橋市にあります カンダデンタル・けやきウォークです。
今日は、当院でもお問合せが増えつつあるマウスピース矯正のお話をさせていただきます。
マウスピース矯正は優れた治療法ですが、リスクなどのデメリットがないというわけではありません。
当院では、しっかりと理解していただいてマウスピース矯正を受けていただくために、そのデメリットも説明します。
その上で、当院でのデメリットを解消するための取り組みについても説明し、マウスピース矯正を受けていただくようにしています。
そこで今回は、マウスピース矯正のメリットの裏に潜んでいるデメリットをご説明させていただき、その対策についてもお話しさせていただこうと思います。

 


マウスピース矯正のデメリット

近年、人気が高まっているマウスピース矯正ですが、メリットばかりではありません。
メリットの裏には、実は以下に挙げるようないろいろなデメリットが隠れています。

 

定期交換が不可欠

マウスピース矯正は、定期的に新しいマウスピースに取り替えて、歯を移動させます。
一定の間隔で、新しいマウスピースに取り替えていくというステップアップにより、歯が少しずつ理想的な位置に向かって動いていきます。
これがマウスピース矯正の仕組みです。
もし、新しいマウスピースへの定期交換を怠ると、マウスピース矯正の効果は得られません。
ご自身での管理を欠かすと治療が進まないというのは、マウスピース矯正では避けられないリスクです。

 

平行移動は苦手

ひとことで矯正治療での歯の移動といっても、実はいろいろな移動の仕方があります。
中でも代表的な移動の仕方が、歯体(したい)移動と傾斜移動です。
歯体移動という言葉は聞きなれないですよね。
この移動の仕方は、歯を平行に動かしていく移動のことです。
矯正治療での歯の移動といえば、この歯体移動をイメージする方も多いことでしょう。
そして、傾斜移動は、文字通り歯を傾けながら動かしていく移動の仕方です。
マウスピース矯正では、歯が傾斜移動しやすい傾向があると指摘されています。
一方、マルチブラケット法というブラケットとワイヤーを使った矯正治療法では、歯体移動が中心です。
歯並びをきれいに整えたいのに、傾斜移動してしまうと、歯の向きが揃わなくなる原因になります。
したがって、マウスピース矯正で歯が傾斜移動しやすいというのは、デメリットのひとつと言えます。

 

抜歯症例は苦手

歯をきれいに並べようとしても、スペースが足りないというときは、一部の歯を抜歯して歯を並べるスペースを確保します。
これを便宜抜歯というのですが、多くの場合、第一小臼歯という前から4番目の歯、もしくはその後ろの第二小臼歯という歯を抜歯対象に選びます。
抜歯してスペースを確保したのちは、このスペースを埋めるように歯を少しずつ動かして並べていくのですが、抜歯したスペース分だけ動かすわけですから、意外と歯の移動距離は長くなります。
先ほどもお話しした通り、マウスピース矯正は傾斜移動しやすい傾向があります。
歯の移動距離が長くなると、傾斜移動するとそれだけ歯の傾きが目立ってしまいます。
すなわち、マウスピース矯正では抜歯したときのような、移動距離の長い歯の移動はあまり得意ではないのです。

 

歴史が浅い

マウスピース矯正が登場する以前、矯正治療法といえばマルチブラケット法でした。
歯の表面にブラケットという金具を装着し、ブラケットに設けてあるスロットにワイヤーを通してワイヤーの弾力性で歯を移動させるため、ワイヤー矯正という別名がつけられている矯正治療法です。
マルチブラケット法にはいくつかのタイプがあるのですが、現在主流となっているのがエッジワイズ法という方法です。
このエッジワイズ法、登場したのはなんと100年ほど前のアメリカです。
太平洋戦争よりもはるか以前に登場した矯正治療法なんですね。
これほどの歴史を持つため、マルチブラケット法での問題点はほとんど抽出され、あらゆる対応策が確立されています。
対して、マウスピース矯正は登場してからまだ日が浅く、これから今まで気が付かなかったいろいろな問題点が浮き彫りになってくることが予想されます。
その過程で、万に一つもないと思われますが、なんらかの危険性についても指摘されるようなことがあるかもしれません。
それに加えて、新しい治療法に対しては、多くの方が不安感を抱くのも事実です。
何事にも通じることですが対策というものは、多くの場合、問題点が明らかになってから講じられます。
そして、新しい治療法に対する不安感は、普及が解消のカギとなります。
そう言った意味で、マウスピース矯正の歴史の浅さもデメリットに含められます。

 

ホワイトニングが制限される

ホワイトニングは歯を漂白して白くする治療です。
ホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化尿素などを主成分としたホワイトニング剤という専用の薬剤を歯に作用させて、歯を白くしていきます。
マルチブラケット法のように歯の表面にブラケットなどの矯正装置をつけると、その部分だけホワイトニング剤が作用しなくなりますから、歯に色むらが生じる原因になります。
マウスピース矯正なら矯正装置をつけることはなさそうですが、アタッチメントというものを貼り付けることがあり、この場合はやはり色むらの原因となりますから、ホワイトニングは避けた方がいいでしょう。

 

費用が高額

矯正歯科治療は、顎変形症を除いて保険診療の給付の対象外治療です。
これが矯正歯科治療が高額になる理由です。
マウスピース矯正では、個人個人にあった専用のマウスピースをオーダーメイドで製作します。
世界にひとつとして同じものはありません。
このため、矯正治療を受けている間の歯科医院での調整の頻度はあまり高くないのですが、マウスピース矯正の治療費も、やはり高額になります。

 

マウスピースが緩いと効果が得られない

マウスピース矯正で歯を移動させられるのは、使用するマウスピースが歯にしっかりとフィットしているからです。
もし、マウスピースと歯の間に隙間があるようなら、マウスピースは適切な矯正力を歯に加えることができません。
そう、ゆるいマウスピースでは歯は動かないのです。
マルチブラケット法なら、歯科医院でブラケットやワイヤーを調整することができますから、多少緩んできても対応が可能です。
一方、ひとつひとつをオーダーメイドで製作するマウスピース矯正のマウスピースは調整できる余地がほとんどありません。
フィット感がゆるいからと言って、強くするのはとても困難です。
もし、マウスピースのフィットが緩いという場合は、マウスピースを一から作り直すこともあります。
マウスピースのフィットによる影響があるのも、マウスピース矯正独特のリスクといえます。

 


当院でのマウスピース矯正のデメリット解消への取り組み

当院では、マウスピース矯正を安心して受けていただけるように、デメリットに対するいろいろな取り組みを行なっています。

 

予約制でしっかり定期交換

先ほどお話ししたとおり、マウスピース矯正は新しいマウスピースに定期的に交換することが欠かせません。
新しいものに交換することを忘れてしまうと、歯はそれ以上動かなくなります。
そこで、当院では予約制を採用し、あらかじめ決めておいた日に来院していただくことで、新しいマウスピースの受け取り忘れや、交換忘れを防ぐようにしています。

 

傾斜移動を防ぐ

マウスピース矯正では、歯を出来るだけ傾けさせないために、アタッチメントというものを歯につけると効果的です。
アタッチメントとは、歯の表面につける小さな突起物です。
コンポジットレジンという歯の色に合わせたプラスチックでできているので、小さいことも相まって目立つことはありませんし、歯磨きがしにくくなるということもありません。
もちろん痛いということもありません。
歯を削ってつけるわけではないので、取り外すとすぐに元の状態に戻せます。
アタッチメントをつける位置や形態、必要となるアタッチメントの数は、人によって異なります。
アタッチメントをつけると、歯がより平行に移動しやすくなる効果が得られますので、傾きやすいというマウスピース矯正のデメリットが解消できます。

 

移動距離が長くてもアタッチメントで対応可能

抜歯が必要な歯並びなどで、抜歯後に歯を移動させなければならない場合、移動距離が長くなります。
そのようなときでも、アタッチメントを使えば、よりスムーズに、そして歯が傾かないように、歯を移動させることが可能になります。
抜歯してスペースを確保しなければならないようなときでも、アタッチメントを組み合わせることで歯を適切な位置に動かせます。

 

他の方法を組み合わせて対応

登場してからの歴史が浅いということは、時間が経たないとどうしようもありません。
しかし、当院ではマウスピース矯正の経験がとても豊富です。
マウスピース矯正だけではありません。
マルチブラケット法による矯正治療も経験豊富で、この方法でもさまざまな歯並びを整えてきました。
もし、治療前の診断の段階で、マウスピース矯正だけでは歯を適切な位置に移動させることは難しいと予想される場合は、マウスピース矯正単独ではなく、マルチブラケット法などの他の方法を組み合わせるようにしています。
当院では、このような取り組みによって歴史が浅いマウスピース矯正でも、歯が動かないという事態を未然に防ぎ、安心して受けていただけるようにしています。

 

ホワイトニングにも工夫して対応

当院ではホワイトニングもおこなっています。
ホワイトニングには、歯科医院で行うオフィスホワイトニングやご自宅で行うホームホワイトニング、そしてその両方を組み合わせたデュアルホワイトニングと、3種類あります。
当院でも、これら3種類のホワイトニングを採用しています。
マウスピース矯正とホワイトニングの両方を考えておられる方は、たとえばマウスピース矯正に取り掛かる前にホワイトニングを受けていただく、そして矯正治療が終わってから2回目のホワイトニングを受けていただくようにするのが、ベストなタイミングです。
もしアタッチメントを一切使わない場合であれば、ホワイトニング剤を作用させても歯の表面に色むらが生じるリスクがほとんどなくなります。
アタッチメントを使わないマウスピース矯正なら、マウスピース矯正と並行して、オフィスホワイトニングを受けていただくということは可能です。

 

費用の説明も十分に

マウスピース矯正の治療費に関わる不安感を解消するために、当院では治療費の目安をあらかじめホームページなどに掲載しています。
その上で、調整費や治療終了までの費用を全て込みにしたトータルフィーで提示させていただいております。
実際に治療に取りかかる前に必ず詳細な治療費について分かりやすくご案内することで、マウスピース矯正の不安点を少しでも解消していただけるように努めています。
当院では高額な治療になることが多い矯正治療を、無理におすすめしたりするようなことは決してありませんので、安心して来院してください。

 

保証制度も完備

マウスピース矯正に限らず、矯正治療後にきれいに整えられた歯並びが元の状態に戻ろうとする現象がみられます。
これを後戻りと言うのですが、矯正治療では避けられない現象です。
そこで、保定装置という矯正装置を使って後戻りを起こさないようにするのですが、後戻りを100%防げると言うわけではありません。
当院では、後戻りが生じやすい治療後1年以内に後戻りを起こした場合の保証制度も整えています。
治療後の後戻りに関しても不安を感じることなく、矯正治療を受けていただける仕組みを導入しています。

 

専門医による安心の管理

マウスピース矯正は、基本的にはマウスピースを受け取ると、あとはご自身での定期交換、つまり自己管理によって治療を進めていきます。
中にはマウスピースを預けたあとは完全に自己管理とすることで、治療費を大幅に安くしているところもあるようです。
マウスピース矯正といえども、治療中予定通り歯が移動しないこともあるので、歯科医師によるチェックは欠かせません。
当院では、専門医がマウスピース矯正をおこなっている間、定期的に歯並びをチェックし、必要に応じて調整するようにしています。

 

マウスピースの緩さを解消する

歯の並びや位置によりマウスピースがゆるくなってしまうことが予想される場合には、先にお話ししたアタッチメントをつけます。
すると、アタッチメントがマウスピースの引っ掛かりとなるために、マウスピースが浮き上がらなくなり、マウスピースをよりしっかりと歯に密着させられます。
こうして、マウスピースがゆるさを解消し、ゆるさにより歯が動かないというような事態を防ぎます。

 

シミュレーションを導入

マウスピース矯正が、新しい矯正治療法であることは言うまでもありません。
新しい、つまり歴史の浅い治療に対する不安感は、誰しもあるものです。
しかし、視点を変えると新しいゆえに、今までの治療法ではなかった技術でそのような不安を解消することも可能です。
マウスピース矯正についていえば、当院でも導入しているシミュレーションが挙げられます。
こちらをご覧ください。

これは、受診された皆様の歯並びが、どのように移動して変化していくのかを3Dで具体的に現したシミュレーションです。
歯の動き方が大変よくわかっていただけると思います。
歯の移動のシミュレーションは、従来から行われているマルチブラケット治療、つまりワイヤー矯正治療の時代にはなかった新しいテクノロジーです。
当院では、シミュレーションを通して、実際にどのように歯が移動するのかを”見える化”しています。
これにより、皆さんの不安感を少しでも解消し、治療後どのような歯並びになるのかをわかりやすく示すようにしています。

 


最後に

マウスピース矯正に関わる不安感や疑問点は、少しでも解消できましたでしょうか。
当院は、マウスピース矯正だけでなく、マルチブラケット治療での矯正治療も長年行っています。
どちらの治療法も症例数も多く、多種多様な歯列不正を改善させてきました。
不安がある方も、当院ならきっと安心して受けていただけると思っております。
他の矯正歯科医院で難しいと診断された方も、ぜひ一度当院でご相談ください。