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2024.2.4

寝ている間にインプラント

監修 医療法人優和会理事長 神田 浩之

 

こんにちは、群馬県前橋市のカンダデンタル・けやきウォークです。

インプラント治療とは、歯を失った箇所に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上から人工歯を被せることで歯を補う治療方法です。見た目の美しさはもちろんのこと、高い機能性・耐久性から、近年はインプラント治療をご希望なさる方が非常に多くなっています。

 

インプラント治療では手術を行いますが、手術と聞くとお痛みや身体への負担などが心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、インプラント手術の際に使用する麻酔方法についてお話しします。

 

インプラント治療で行われる手術とは

インプラント治療では、人工歯根を埋め込む手術だけでなく、インプラントを埋め込むために顎の骨を移植したり増やす手術を行うことがあります。いずれにしても、通常の歯科治療と比べてやや大掛かりな処置となります。手術と聞くと、怖そう、痛そう、というイメージを抱く方も多いかと思いますが、当医院では患者様の手術に対する不安を解消するために、局所麻酔に加えて鎮静麻酔使用しています。

 

痛みを軽減する麻酔の種類

手術の際に痛みを軽減するために、麻酔を使用します。歯科治療で用いる麻酔は、大きく分けて次の3種類があります。

 

・局所麻酔

・鎮静麻酔

・全身麻酔

 

ただし、全身麻酔が一般的な歯科医院やクリニックで用いられることはほとんどありません。外科手術が必要な矯正治療や親知らずの抜歯など、大学病院や総合病院のように入院設備の整っている場所で行われます。今回は局所麻酔と鎮静麻酔について詳しくご紹介します。

 

歯科治療における局所麻酔

一般的な歯科治療で最もよく使われるのが、局所麻酔です。むし歯の治療、歯周ポケットが深いところの歯石除去、歯の神経の治療、抜歯など、処置を行う箇所に直接薬剤を浸潤させ、末梢神経の経路を一時的に遮断することで患部の痛みを軽減する方法です。局所麻酔はさらに表面麻酔、湿潤麻酔、伝達麻酔に分類されます。

 

・表面麻酔

歯ぐきや粘膜に液体状またはジェル状の薬剤を塗布する麻酔処置です。麻酔が効くまでの時間は数分で、表面の感覚を麻痺させることでこのあとに行う麻酔の注射で針が刺さる痛みを軽減できます。麻酔が効くまでの時間が短い分、その効果が続く時間も短く、概ね10分程度です。表面麻酔の薬剤の主成分はアミノ安息香酸エチルで、副作用にはむくみなどがあります。

 

・浸潤麻酔

痛みを緩和したい部分の周囲に、注射で薬剤を湿潤させます。歯ぐきに注射した薬剤が顎の骨の中に浸透し、歯の根の周囲にある神経をブロックすることで、鎮痛効果が得られます。一般的に歯科治療における麻酔と聞いてイメージする方が多いのが、この湿潤麻酔です。細い針を用いる、麻酔薬の温度管理をするなどにより注射時の痛みを軽減することもできますが、表面麻酔を併用する場合もあります。湿潤麻酔の効果は概ね1~3時間程度持続すると言われています。

 

・伝達麻酔

歯の神経の大元となる部分に局所麻酔薬を投与する麻酔方法です。下顎の奥歯など骨が厚くて薬剤が浸透しづらい箇所や、舌や唇を含めてより広い箇所に麻酔を効かせたいときに行われます。伝達麻酔の効果は概ね3~6時間程度持続すると言われています。

 

歯科治療における鎮静麻酔

歯科治療に対する不安や恐怖心を和らげ、リラックスした状態で処置を受けられるようにする方法が「鎮静麻酔」です。鎮静薬の効果により、うとうとと眠ったような状態になり、不安や恐怖心が薄れるとともに治療中の記憶を健忘させる効果もあります。全身麻酔とは異なるもので、意識が完全になくなるわけではありません。鎮静麻酔の特徴として、次のようなことが挙げられます。

 

・ほとんどのケースで意識がなく、痛みや不安を感じなくなる

・鼻から吸引する方法と、腕の静脈から鎮静薬を注入する方法がある

・副作用のリスクが少なく、安全性が高い

・麻酔から覚めるのが早い

・アレルギーや鼻で呼吸ができない方には使用できないこともある

 

鎮静麻酔の代表的なものとして、「笑気吸入鎮静法」と「静脈内鎮静法」の2種類があります。それぞれについて詳しくご紹介します。

 

笑気吸入鎮静法

鼻から吸い込む笑気ガスにより、鎮静、睡眠、鎮痛の効果を得られる麻酔法です。リラックスした状態になり、治療に対する不安や緊張を軽減することができます。笑気ガスとは亜鉛窒素ガスのことで、これを吸引すると少しお酒に酔っているかのようなふわふわとした状態になります。身体がぽかぽかと温かくなるように感じる方もいらっしゃいます。完全に意識がなくなるわけではないので、歯科医師からの呼びかけに答えることも可能です。

 

【笑気吸入鎮静法のメリット】

・治療に対する不安や恐怖をやわらげることができる

・痛みを感じにくくなる

・完全に意識がなくなるわけではないので、治療中も歯科医師とコミュニケーションができる

・鎮静状態になるまでが数分と短い

・笑気ガスの吸入をやめれば数分で覚醒するため、異常がなければ歩いて帰宅できる

・笑気ガスはそのまま体外に排出されるため、副作用の心配もほとんどない

 

【笑気吸入鎮静法のデメリット】

・鎮静効果には個人差がある

・鼻から吸引するため、鼻詰まりや喘息がある方には使用できない

・中耳炎や気胸など、体内に閉鎖腔のある病気をお持ちの方、妊娠初期や授乳中の方にも使用できない

 

静脈内鎮静法

点滴によって腕の静脈から鎮静薬を注入して行う鎮静法です。「セデーション」と呼ぶこともあります。鎮痛薬の効果により、不安や恐怖心を軽減し、うっすらとした意識のなかで眠っているような感覚になります。また、笑気麻酔よりも健忘効果が高く、治療が終わった後は治療中のことはほとんど覚えていない方もいらっしゃいます。全身麻酔に比べると副作用のリスクも少なく、安全性の高い麻酔方法です。

 

【静脈内鎮静法のメリット】

・治療に対する不安や恐怖をやわらげることができる

・血圧、脈拍、呼吸が安定する

・健忘効果が強く、実際の治療時間よりも短く感じられることがある

 

【静脈内鎮静法のデメリット】

・治療前に点滴のルートを確保する必要がある

・覚醒するまではある程度休む必要があり、当日は車の運転ができない

・上記のことから、トータルの治療時間が長くなる傾向にある

・アレルギーなどがある場合はこの方法が使えないこともある

 

インプラント治療における麻酔

インプラント治療そのものは局所麻酔のみでも手術が可能ですが、当医院では患者様のご希望に応じて、麻酔歯科医の立ち会いの下、静脈内鎮静法下でインプラント手術を受けていただくことができます。手術に対する不安や恐怖感が強い方でも、安心して治療をお受けいただけます。静脈内鎮静法には痛みをやわらげる効果もありますが、完全に無痛になるわけではありません。基本的には、通常の局所麻酔と静脈内鎮静法を併用していただくことになります。

 

麻酔の効果が持続する時間には個人差がありますが、麻酔が効いている間は口の中の粘膜や唇の感覚が麻痺しています。そのため、できるだけ麻酔が切れるまで食事は避ける、麻酔後の食事は熱いものや刺激物を控えるなどのことを心がけましょう。また、手術当日は飲酒や長風呂、運動など血流を良くするような行動は避け、安静に過ごすようにしてください。

 

まとめ

今回は、インプラント手術の際に使用する麻酔方法についてお話ししました。インプラントの手術に不安がある方も安心して治療を受けていただけるように最善を尽くしますので、お気軽にご相談ください。また、今回ご紹介した笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法は、インプラント手術以外の歯科治療にも対応が可能です。当院では、日曜日に麻酔科医による手術対応をしております(時期によっては土曜日も対応可能です)。ご希望の際はスタッフまでお声がけください。

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