監修 医療法人優和会理事長 神田 浩之
こんにちは、群馬県前橋市のカンダデンタル・けやきウォークです。
インプラント治療において、治療が完了したあとのメインテナンスは非常に重要です。当院では、他院で行ったインプラント治療についても、メインテナンス、修理、交換、トラブル対応など様々な対応が可能です。
なぜメインテナンスが重要なのか
インプラント治療とは、歯を失った箇所の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上から人工歯を被せる治療方法です。この治療方法は、他の歯に負担をかけることなく、天然歯に近い見た目の美しさ・機能性・耐久性を実現できることが最大の特徴です。インプラントの寿命は平均20~30年と言われていて、年々長くなっていますが、長く良い状態を保つためには治療完了後のメインテナンスが欠かせません。プラークや咬合力のコントロールが十分にできていないと、インプラント周囲炎とよばれる歯周病に似た症状が生じ、最悪のケースではインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
インプラント周囲炎は歯周病と同様に細菌感染によって起こるものであり、インプラント周囲に付着したプラーク(歯垢)が原因となります。いくら質の良いインプラントで治療が成功したとしても、インプラント周囲の清掃がしっかりとできていなければ、溜まったプラークの中で細菌が繁殖して歯槽骨を破壊してしまうのです。このような事態を回避するためには、毎日のセルフケアに加えて歯科医院での定期的なメインテナンスを受けることが大切です。
インプラントのメインテナンスでは何をする?
インプラントのメインテナンスで特に重要視しているのが、「プラーク」と「咬合力」のコントロールです。そのためには、インプラント本体とインプラントの周囲組織それぞれに対してメインテナンスを行います。具体的にどのような項目を確認していくのかご紹介します。
インプラント本体のメインテナンスで確認すべき事項
インプラントの本体(上部構造、アバットメント、インプラント体)を評価し、異常があったときには早期に対応することが大切です。具体的には以下のような検査を行い、その時のインプラントの状態を評価します。
- スクリューの緩みや破折の有無
スクリュー部分に過大な力が継続的に加わると、緩んできたり場合によっては破折してしまうこともあります。特に、咬合力が強い方や日常的に歯ぎしり、食いしばりをしている方では、スクリューに問題が起こるリスクが高くなります。これを防ぐためには、必要に応じてナイトガードを作製し、就寝時には装着していただくようにしています。スクリューの状態によっては交換が必要になることもありますが、当院では、国内外ありとあらゆるインプラントメーカーに対応可能ですので、どうぞご安心ください。
- 上部構造の摩耗・欠け・ひびの有無
強い咬合力や日常的な歯ぎしり、食いしばりにより、上部構造の人工歯がすり減る、欠ける、ひびが入るなどのことがあります。そのような場合は、ナイトガードを使用するほか、咬合調整をして咬合力をコントロールします。場合によっては補綴のやり変えを行う必要があります。
- 対合歯の損傷の有無
インプラントと噛み合わせている歯(対合歯)に負担がかかっていないかを確認します。レントゲン検査や歯周ポケット検査、噛み合わせの検査などを行い、評価します。
- 隣り合う歯との隙間
インプラントと隣り合う歯との隙間が離開しているようなことがあれば、その隙間の適正な回復が必要です。隙間が大きくなると、食べ物がつまりやすくなったり、汚れが溜まりやすくなるため、インプラント周囲炎のリスクが高くなります。
- 上部構造へのプラーク付着
セラミック製やジルコニア製の上部構造はプラークがつきにくい材質ではありますが、適切なセルフケアができていないとプラークが付着し、インプラント周囲炎の原因となります。状態に応じて、デンタルフロスや歯間ブラシなどが使いやすいように上部構造を形態修正することもあります。
インプラント周囲組織のメインテナンスで確認すべき事項
インプラントの周囲組織を評価し、異常があったときには早期に対応することが大切です。具体的には以下のような検査を行い、その時のインプラントの状態を評価します。
- プラークコントロールの状態
インプラント周囲炎を予防するにあたり、プラークを効率よく除去し、インプラント周囲への付着を防ぐことが必要不可欠です。
- 歯周病検査
インプラントを支えている歯周組織の状態を把握するためには、歯周ポケットの深さを測ることでその状態を評価します。歯周ポケットの深さとインプラント周囲組織の炎症の状態には相関関係があると言われています。
- 出血の有無
歯周ポケットの計測を行う際に、出血があるかどうかということも重要な評価基準です。出血がないということは、インプラント周囲組織が健康で安定しているということをあらわします。
- 排膿の有無
インプラント周囲炎の主な症状には、出血のほかに排膿も挙げられます。炎症により膿が出ていないかということも確認します。
- 動揺の有無
インプラントの状態が悪化すると、次第に動揺がみられるようになります。インプラントをそのまま維持できるかを判断するためには、動揺の程度を検査し、判断基準とします。
- レントゲン検査
インプラントを支えている歯槽骨の状態は、外から見ただけではわかりません。インプラント周囲の歯槽骨の吸収を把握するために、レントゲン検査を行います。
バリオスエアフロ―でのメインテナンス
当院では、インプラント周囲炎の予防に大きな効果を発揮する「バリオスエアフロ―」を導入しています。バリオスエアフロ―とは、2つの高機能ツールを凝縮している治療設備で、インプラントのメインテナンスのほかにも歯周病治療やPMTCで使用することもあります。バリオスエアフロ―は以下の2つの機能をもっています。
【超音波スケーラー】
・硬い歯石に対しても、パワーが落ちることなく安定した施術ができます。
・チップの選択肢が豊富なので、お口の中の状態に合った負担の少ない治療が可能です。
・先端部が細いので、ご自身での清掃が難しい箇所にもスムーズにアプローチすることができます。
【パウダーデバイス】
・長くて小さいノズルが、臼歯にも容易にアプローチして負担を軽減します。
・球状の粒子であるフラッシュパールが、効率的にステインやプラークを除去します。
・ご自身での清掃が難しい箇所や広い範囲の汚れも効率的に除去できます。
・歯周ポケットの中も組織を傷付けることなく清掃ができます。
・オールオン4,6やブリッジが入っているような方の磨きにくい部分の細かいところまで清掃ができます。
メインテナンスの頻度
インプラントのメインテナンスを行う頻度(間隔)は、患者様により異なります。お口の中の状態が良好で、インプラント本体・周囲組織どちらにも問題がない場合は、一般的に4~6ヶ月程度の間隔でよいと言われています。しかし、インプラント本体や周囲組織、さらには周囲の歯の状態や全身状態によっては、1~3ヶ月程度の間隔でメインテナンスをすることが望ましいとされています。あらゆる可能性を考慮したうえでメインテナンスの頻度を決定する必要があるため、当院では患者様お一人おひとりに合わせたメインテナンスの頻度をご提案しています。
まとめ
一番は自分自身での毎回のセルフケアが大事ですが、当院では引っ越しや転勤などの理由により治療の継続が難しくなった患者様や、他院でインプラント治療を受けられた患者様のメインテナンスも行っております。メジャーなメーカーのインプラント製品はほぼ全てお取り扱いがあるため、ご安心ください。カウンセリングのご予約はHPからWEB予約のみで受け付けております。