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2025.8.13

糖尿病患者が気をつけたいインプラント治療のリスクと課題

監修 医療法人優和会理事長 神田 浩之

 

こんにちは、群馬県前橋市のカンダデンタルけやきオフィス前橋です。

インプラント治療は、歯を失った方が見た目や噛む力を取り戻すための治療法の一つです。しかし、糖尿病をお持ちの方は、一般の方と比べて注意すべき点がいくつかあります。今回は、糖尿病患者の方がインプラント治療を受ける際のリスクや課題、そして成功のための対策について解説します。

 

糖尿病とインプラント治療の関係

糖尿病は、血糖値のコントロールが難しくなる疾患で全身の健康に影響を及ぼします。特に、傷の治癒力の低下や免疫機能の低下といった側面があり、インプラント治療においても無視できない要素となります。

インプラント治療では、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋入し、骨としっかりと結合させることが必要です。この骨との結合がうまくいくことでインプラントが安定し、長期間快適に使用することができます。

しかし、糖尿病患者の方は血糖値が高い状態が続くと感染や治癒遅延が起こりやすくなるため、インプラント治療には慎重な対応が求められます。

一方で、近年の研究では血糖値が良好に管理されていれば非糖尿病患者と同等の成功率が得られることも分かってきました。

 

糖尿病患者が抱えるリスクとは?

1.傷の治癒が遅れる

糖尿病により毛細血管の血流が悪化すると傷の治癒に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。そのためインプラント埋入後の傷口の治りが遅れ、術後のトラブルにつながることがあります。

 

2.感染症のリスクが高まる

糖尿病の影響で免疫力が低下すると細菌感染を引き起こしやすくなります。特に注意したいのが「インプラント周囲炎」と呼ばれる炎症で、これはインプラント周囲の歯ぐきや骨が炎症を起こす状態です。放置するとインプラントの脱落につながることもあります。

  

3.治療後のメンテナンスがより重要に

糖尿病患者の方は歯周病の進行が早い傾向にあるため、インプラント治療後も定期的なメンテナンスが非常に重要です。プラークコントロールを徹底することがインプラントの長期的な安定性を保つカギになります。

 

糖尿病でもインプラント治療はできる?

結論としては、血糖値が適切に管理されていればインプラント治療は可能です。

実際に、糖尿病をお持ちの方でも治療前にしっかりと準備を行い、医科との連携や適切なメンテナンスを行えばインプラント治療は十分に成功が見込めます。

ただし、「糖尿病があっても誰でも治療可能」というわけではありません。個々の病状や生活習慣に合わせた治療計画の立案が必要です。

 

治療を成功させるためのポイント

1.血糖コントロールを安定させる

インプラント治療を検討される際、まずは主治医と相談し、血糖値(HbA1c)の安定を目指すことが第一です。

 

2.専門医による慎重な診断と治療計画

糖尿病をお持ちの方のインプラント治療では、より丁寧な検査と診断が欠かせません。骨の状態や歯周病の有無、全身状態までトータルに評価し、無理のない治療スケジュールを組むことが求められます。

 

 3.治療後の定期的なメンテナンス

インプラント治療が成功した後も、定期的なプロフェッショナルクリーニングと自宅でのケアを両立することが重要です。糖尿病患者の方には、通常より短いスパンでのメンテナンスが推奨される場合もあります。

 

まとめ

糖尿病をお持ちの方にとってインプラント治療は不安な要素があるかもしれませんが、適切な準備と管理があれば安全に受けられる治療です。血糖値の安定、丁寧な診断、そして継続的なケア。この3つが成功のカギを握ります。

当院では、糖尿病を含む全身疾患をお持ちの患者様にも安心して治療を受けていただけるよう、医科との連携体制を整えたうえで診療を行っております。ライフスタイルやご希望に合わせたカウンセリングも行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

カウンセリングのご予約は、お電話・WEBから受け付けています。

 

カンダデンタルけやきオフィス前橋

 

神田 浩之